振袖は、長く日本女性の第一礼装としての地位を保っていますが、素材の絹糸から生地が作られ、生地に様々な模様が施された後に仕立て上げられることになります。しかし、素材の絹糸も、糸として使えるようになるまでには様々な工程があり、その大本の蚕や養蚕技術も、何とも長い時間を経て今に至っています。その過程では、幾多の人の努力や研究が繰り返され、良質な生糸が効率的に取れるようになって来ました。現在、多くの新成人が振袖を着て成人式に出席する習慣も、絹糸が作られその絹糸を通した交流としての大きな流れの中の一側面であるとみることができます。それは、まるでシルクロードの歴史のように、奥行きもあり膨大な時間も経た上で少しずつできて来た形なのでしょう。蚕から振袖ができるまでの、気が遠くなるように長く深い歴史を紐解いて行こうと言う連載です。
素晴らしい素材としての絹
長い長い製造過程
ボタンを押すと何らかの結果が出て、その途中でどんな作業がなされているのかは解らない、あるいは特に関心を持たない、そんな現代人も多いようです。スマホのボタンをクリックすれば、それこそ世界中の人と交信できてしまいますし、買い物や仕事なども出来てしまいます。しかし、その過程では様々な人の努力や研究の末に色んな技術が開発され今に至っています。そもそも電気が無ければ動かすことができませんし、電気を作ることだけでも大変な作業だと思います。お刺身や鳥のササミなどの食品が、どのような過程を経てスーパーの食材として並ぶのか、そもそもお刺身や鳥のササミの大本の生物が何なのかが解らない若者もいるそうです。すると、振袖を始めとした和服の素材である絹は、一体どこからどのようにできるのかも、そのうち関心を持たれなくなってしまうのでしょうか。それはいかにも寂しい限りですから、和服の文化を継承して行く意味でも関心を持っていただきたいと思います。
不思議な糸を吐き出す虫
シルク・絹とは、蚕蛾(かいこが)の幼虫である蚕(かいこ)が口から吐き出す蛋白質の糸です。植物性でも動物性でもない強くて柔らかい糸で、幼虫が蛹(さなぎ)になる前に産み出します。蚕は繭を完成させるまで糸を出し続けますから、全体が一本の糸として繋がっています。その長さは千数百メートルと言われています。蚕は桑の葉をたべますので、蚕を育て絹を採ろうとすれば、周辺に桑の木を育てる必要があります。1キロの絹糸を生産するためには、蚕に約10本分の桑の木の葉を与える必要があると言われています。従って、養蚕を営むには、桑の木の植樹が必須ですから、養蚕ができるかどうかは、桑の木の植生環境の適不適が大きく関係してきます。つまり、絹の生産は桑の植生が可能な地域であることが前提条件になります。幸いにも、日本は桑の植生に適した気候ですから、養蚕業が興りました。現在、繭を採る虫を蚕と呼んでいますが、蚕の祖先はクワコと言う虫で現在も生息しています。クワコが繭を作る様子を観察し、その繭から糸が採れることを発見したようですが、より効率的に繭が採れるように改良された虫が現在の蚕です。クワコは自然種ですから普通に桑の葉を食べ、普通に生活していますが、蚕は改良種で、自分から進んで桑の葉を採って食べるということはせず、目の前に桑の葉があれば食べる習性です。従って、人間が蚕の目の前に餌を与えないと直ぐに死んでしまいます。蚕が口から糸を吐き出し繭を作る時期は、24時間蚕の傍で食料である桑の葉を与え続けなくてはなりませんから、養蚕は簡単な仕事ではありません。
養蚕の夜明け
養蚕はいつ頃どこで始まったのでしょうか?中国浙江省で、紀元前2760年頃の遺跡から絹製品が出土していますから、今から約5000年も前には始まっていたようです。自然の虫からあんな高級な糸が採れるのですから、養蚕は特殊技術として約3000年間、中国国内から出ることはありませんでした。養蚕の技術は最先端の技術でしたから、持ち出すことは禁止され、発覚すれば死罪となりまし。そうでなくても、2週間足らずで孵化してしまう卵の運搬や餌となる桑の葉の調達などの問題もあり、他国へ持ち出すことは難しかったようです。1世紀に、中国からホータン国王に嫁いだ婦人が、桑と蚕の種を棉帽子の中に入れて持ち出したのが最初といわれていて、以後西域に広まっていったようです。それまであった羊毛や麻などと違い、柔らかさや軽さ、色んな色に染めやすいなどの優れた面を持つ絹を見た西洋人は驚き、需要が一気に高まりました。ほどなく絹は金に匹敵するほどの価値を持つ貿易品となり、その絹を東西でやり取りするシルクロードに繋がって行きました。・・・続きは「振袖物語・養蚕と絹糸その2」を御覧下さい!
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