アンティーク振袖の素材であるシルクは、時間も場所も遥か遠い向こうからやってきました。
日本にはいつ頃養蚕が伝わったのでしょうか。福岡県の有田遺跡(紀元前200年頃)からは平絹が出土していて、当時の中国の絹織物とは織り方が異なることから日本列島特有の絹織物が既にあったと考えられています。と言うことは、紀元前200年以前の弥生時代には日本で養蚕が行われていたことになります。弥生人もシルクをまとっていたようです。朝鮮半島には紀元前1世紀頃に伝わったことが分かっていますので、日本には朝鮮半島経由ではなく、中国から直接伝わったと考えられています。3世紀、卑弥呼の時代には日本で絹織物が行われていた記録が「魏志倭人伝」にあるようです。卑弥呼は女王様ですから、当然シルクをまとっていたのでしょう。しかし、あくまで養蚕は、ごく特殊な技術であり、産業として組織的計画的に行われるのはずっと後のことになります。